未来少年ではない。見ためは子ども、中身は大人の名探偵でもない。コナン三兄弟の長男凶悪マッチョ戦士のコナンである。 なんたら洋画劇場(TV・再放送)で何度となく見たアーノルド・シュワルツェネッガー主演『コナン・ザ・グレート』の原作。な、な、懐か…
あなたの人生の物語 『あなたの人生の物語』 突飛な状況に現実感を持たすため物理学?系の説明があまりに過多で、理解できない箇所も多かったのだが、その反面主人公が自分の娘に対して語りかける並行部分の文章の方は、埋め合わせのように情感に満ち満ちて…
〜劉慈欣について。 1963年山西省陽泉生まれ。発電所でエンジニアとして働くかたわら、SF短編を執筆。『三体』が2006年から中国のSF雑誌〈科幻世界〉に連載され、2008年に単行本として刊行されると、人気が爆発。アジア人作家として初めてSF最大…
『傷跡』を読んでまず目を引かれるのは、いずれの登場人物もどこかしら【変】だということだ。彼らはみな常識的な規範から少しずつ(あるいはかなり)ズレている。このズレはなんの変哲もない日常的な光景を〈異化〉することによって、読者の脳裏に忘れがた…
結論からいいますと、 無料体験どころか、月500円(年会費だと4,900円でお得)払ってもメリットいっぱいで、今までの生活が革命的に変わります。少しでも迷っているなら絶対やったほうがいいです。楽しみ方がいっぱい(読み放題だけじゃない)!そし…
冒頭。ブリヒダという老婆が死んだことについて、何の断りもなく大勢の人間が現れて、入れ替わり立ち代わり喋っている。 しばらくして、ベニータという名のシスターが、一人の男に自転車を運ぶよう指示をだす。ムディートと呼ばれているその男は聾唖者であり…
1行から4行ほどの文章で、一つの物語が始まり、完結する。文字数が少ないので、つかわれる一文字一文字の硬度は高くなり、ひとつの文節が持つイメージ量は必然それなりの大きさが必要となってくる。足りない情報は、読者が勝手にイメージすることで埋め、…
文学こそがすべてなのだ、最も偉大な、最も非道な、運命的なもの。そしてそうと知った以上、他になすべきことはなかった。 上記は、『悲しみよこんにちは』で19歳にして時の人となるフランソワーズ・サガンの言葉。 彼女はランボー詩集『イリュミナシオン』…
彼のやろうとしてしていること、それは日記を始めることだった。違法行為ではなかったが、しかしもしその行為が発覚すれば、死刑か最低二十五年の強制労働収容所送りになることはまず間違いない。~中略~ペン先をインクにつけた彼は一瞬たじろいだ。戦慄が…
まず結論からいうと、相当面白かった。 著書の『アンドロイドは電気羊の夢をみるのか』を読んだときにも、そのあまりの面白さにぶっ飛んだ記憶があるのだが、今回はそれ以上にぶっ飛んだ。 主人公のジョー・チップは、不活性者(反超能力者)側の検査技師で、…
幻想文学の名手フリオ・コルタサルのおすすめ短編小説ランキングです。個人的な選出ですが傑作ぞろいです。ぜひご覧ください。
私のなかにある少ない言葉で、本書の魅力を伝えることは非常に困難だ。だけどもこのように素晴らしい本を縁あって読んで、それによって何かを感じることが出来たのだから、曲がりなりにもそのことを、文字として残すことに何かしら意味はあると思いたい。 ス…
まず三つ。 ①本書は金銭を目的として書かれたものではない。 ❷わたしたち、読者の身の安全は確保されている。 ③傑作である。 上記の①〜③について、順をおって記載していく。 ①に関しては著者の経歴をみて、本書を読めば明らかである。本書『精霊たちの家』は…
※この文章は書評というより私個人の思い出話です。あらすじなど詳しく知りたい方は先行書評に素晴らしいものが多いのでそちらをお読みください。そして本文はあくまで個人的に感じた内容が書かれています。失礼なもの言いや、見当違いのことが書かれていても…
あらすじ(本書より抜粋) 1970年の夏、海辺の街に帰省した(僕)は友人の(鼠)とビールを飲み、介抱した女の子と親しくなって、退屈な時を送る。 二人それぞれの愛の屈託をさりげなく受けとめてやるうちに、(僕)の夏はものうく、ほろ苦く過ぎさっていく。 青…
わたしの記憶は、誕生した瞬間にすでに晩年である。 まるでカゲロウ。哀れなものだ。 読んだ本にしても同じことで、 もうすでに本書の記憶は死のうとしている。 よってこのおぼろげな雑文は弔辞である。 ホテル・ニューハンプシャーと 生きとし生けるすべて…
青年の放浪と成長の物語といえば一見よくありそうな設定なのだが、カフカの書くそれはやっぱりなんだか異質なものとなっている。突如現れるそのひずみに虚をつかれ思わず二度読みしてしまう。 別段、文章じたいに変わった印象は受けない。とても簡素で読みや…
中央アメリカの小国ニカラグアは1937年~1979年の間、アメリカの武力干渉を受けた国家警備隊を背景とした親米政権の独裁を受けていた。 ソモサ王朝と呼ばれたその政権はソモサ一家3代にわたる世襲政権でニカラグアの国内総生産の約半分を一家の系列企業で独…
優しいけれどちょっと馬鹿。 そんな男の語る倒錯したラブストーリーってやつがあるとしたら、それは個人的にとても好きなジャンルの小説だ。いちいち主人公の言うことが共感できて、こころがリズミカルに弾みだす感覚が味わえる。 本書『グラフィティ』『自…
インゲボルク・バッハマン(1926~1973)。オーストリアの詩人、小説家。 1949年、23歳の時マルティン・ハイデッガーに関する論文で哲学の博士号を取得する。 学生時代パウル・ツェランと恋仲にあったことでも有名。二人の往復書簡は2008年に公表され、『バ…
17年前に刊行された第一作品集、『あなたの人生の物語』を読んだときも、衝撃を受けたのを覚えている。当時の印象は、とにかく知的だということだ。ひどく洗練されている。SFというジャンルは、出版された時点での社会のテクノロジーの進み具合によって、…
もしかしてこれは・・(ページをめくる手を止める) まさかね。う~ん・・(思い出したり考えを巡らす) いや、すごいけど・・・(3ページほどさかのぼる) いやいやいやいや・・・(深呼吸) やっぱりそうか。・・・(気づき) ああ、すげえ。・・・(おし…
A:福田恆存にあった?小林秀雄の跡取りは福田恆存という奴だ。これは偉いよ。 B:福田恆存という人はいっぺん何かの用で家へ来たことがある。あんたという人は実に邪魔になる人だと言っていた。 A:あいつは立派だな、小林秀雄から脱出するのを、もっぱら心…
A 自分の人生の主役は自分だ。となると、他人の人生においては、誰もが脇役でしかない。 B 小説にしても映画にしても、敵役が強力でなければヒーローも輝かない まるで箴言のように印象的な書き出しでエッセイは始まる。 ほうっと思う間もなくあらすじの説明…
〜あらすじ 全作において一時的に三体文明をしりぞけることに成功した人類。その一方で、極秘のプランが進行していた。 『階梯計画』といわれるこの計画は、三体文明に人間のスパイを一人送り込むという奇想天外なものだった。この不可能とも思えるプロジェ…
〜あらすじ 四百数十年後に地球に到達する三体人の大艦隊。 一方人類は、ソフォンによる監視と妨害により、対抗するための科学的発展もままならない。 起死回生の一手をさぐるべく、面壁計画を実行する人類。 計画を託された4人の面壁者のメンバーに葉文傑…
あらすじ(物語冒頭部分) 1967年、文化大革命の糾弾集会で、目の前で父を殺された天体物理学者の葉文傑(よう・ぶんけつ)。自身も迫害を受ける過程のなかで、ひとつの信念がこころのなかに芽生える。 ~人類はみずからを修正できない。外部からの手助け…
以前から、興味はあったのだ。 悪魔だの地球外生命だの、そんなものはうさんくさい。どうせよくあるような話だろうなと思いつつ、現代の神話とまで呼ばれるこのクトゥルーの一連の物語を読まずに済ませてきた。 べつに、こんなものに手を出さなくても、世の…
あなたは、 「俺(わたし)はこの会社であと何年働いていかなきゃならないんだろうか(悲)?」とか 「週5ってどう考えても働きすぎだろ(怒)!俺は週2くらいがちょうどいいんだ(怒)!」とか 「そもそもなんで働かなきゃいけないんだよ(哀)。おれの仕事は主に二…
こうして話を始めるとなると、君はまず最初に、僕がどこで生まれたかとか、どんなみっともない子ども時代を送ったかとか、ぼくが生まれる前に両親が何をしていたかとか、その手のデイヴィッド・カッパーフィールド的なしょうもないことあれこれを知りたがる…