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書評『三体Ⅱ~黒暗森林上・下』劉慈欣著~傑作!!SF好きなら、いやそうでなくても 読んでおいた方がいい!圧倒的エンターテイメント!特にこの2部!黒暗森林編!!

 あらすじ

 

四百数十年後に地球に到達する三体人の大艦隊。

 

一方人類は、ソフォンによる監視と妨害により、対抗するための科学的発展もままならない。

 

起死回生の一手をさぐるべく、面壁計画を実行する人類。

 

計画を託された4人の面壁者のメンバーに葉文傑により宇宙社会学の公理を話された人物

 

ルオ・ジーがいた・・・。

 

 

~三部作のなかでもこの二作目、黒暗森林編が圧倒的に面白い!!

 

二作目では、面壁者の一人であるルオ・ジーが主人公となっている。彼は知性もそこそこ、責任感も希薄な人物だが、あまり物事に頓着しない楽観的なところのある人物。他の面壁者が元大統領とか、それぞれの科学分野のトップだったりするところを考慮すると、なんの経歴もない人物とも言える。当の本人も、なぜ自分が、莫大なリソースをほぼ無制限に使用することのできる、救世主のような役職に選ばれたのかよくわかっていない。

 

 

そもそも面壁計画というのはなんなのか?これは半ばヤケクソのような、もしくは超ハリウッド的な、あるいは壮大な規模の責任転嫁のような印象をうける計画である。

 

 

前作で、三体人は思考がお互いに透明で、騙したり騙されたりすることが出来ない生命体であることが判明した。それゆえ、科学水準は地球よりも圧倒的に進んでいるが、唯一人類が活路をみいだせるのは、ここの相違の部分であると人類は判断したのだ。

 

ソフォン(デザインされた陽子)の存在で地球上のあらゆる会話、映像情報は三体文明に筒抜けである。唯一安全なのは、ひとりひとりの頭の中の思考のみ。そこで人類は、極度にすぐれた知性をもつ者を選定し、彼らに三体艦隊をうちやぶる方法を思考させることとした。そして莫大なリソースの使用許可、そしてその使用理由の秘匿権も同時に与えることとしたのだ。

 

他3名の面壁者が、数百万個の水爆の製造や、人類の脳進化のための研究や、宇宙間の戦闘機の製造など壮大な規模の戦略に取り組み始めるなか、ルオ・ジーのみはその秘匿権を利用し、ほとんど私利私欲のようなくだらない要求ばかり行っている。

 

 

ほとんど皆からあいつはバカじゃなかろうか?とその人間性を疑われるなか、彼のもとに全作でも登場した元対テロ用警察官シー・チアンが現れる・・・・・。

 

 

〜おわりに

 

シー・チアンが登場すると物語が急に加速するんです。まあ、その面白いこと!本書『三体』はSFなんで、その荒唐無稽さを嘘くさく感じさせないために、科学的検証ページみたいなのが結構多いんですよね。

 

でも、私みたいな科学ド素人にはそういった記述は暇なんです。読みたいのは登場人物の心理とか、窮地にたたされたときの行動とか、ちょっとした時の会話の素敵さとか、うねるようなストーリー展開とか、大どんでん返しとかそういった判りやすい部分なんです。

 

そこら辺をうまく織り込んでくるのが、シー・チアンとかルオ・ジーなんです。人間くさいけど、腹のなかで何を考えているかわからないような二人がタッグを組んで、作中の人類と、三体人と、それから読んでいる私たちをも煙に巻いていく。

 

ルオ・ジーはダメダメに見えるけど、これは本当にダメダメなのか?それとも私たちを騙しているのか?それともやっぱり本当にダメなのか?いやいや、やっぱり何かあるはずだ。でも本当にダメそうに見える・・・。さあ、あなたもすでにルオ・ジーとシー・チアンのとりこ。近くにいたら嫌ですけど、これはあくまで物語。ダメな子ほどかわいいのです。

 

 

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