- Book Box - 本は宝箱。

SF・幻想文学多めの読書感想サイトです。基本好きな本しか感想書かないので、書いてある本はすべてオススメです。うまくいかない時ほど読書量がふえるという闇の傾向があります。それでも基本読書はたのしい。つれづれと書いていきます。

感想『密会』ウィリアム・トレヴァー著〜市井の人々の日々の暮らしを、その中で起こりうる感情を、ただありのままに書かせたとしたらウィリアム・トレヴァーに勝る作家はいないだろう。英語圏最高の短編作家と称されるのも納得の、味わい深い十二の作品群。

トレヴァーの小説は、物悲しいと同時に美しい。そして常に変わらず誠実である。

サンフランシスコ・クロニクル

 

ウィリアム・トレヴァーについて。 

〜1928年アイルランドコーク州にて生まれる。アイルランドの最高学府トリニティ・カレッジ・ダブリンを卒業後、教師、彫刻家、コピーライターなどの職歴の後、60年代より作家活動に入る。65年、第二作『同窓』がホーソンデン賞を受賞。以降すぐれた長編、短編を発表し続け、数多くの賞を受賞している(ホイットブレッド賞は3回受賞)。短編の評価は極めて高く、初期からの短編集7冊を合わせた短編全集(92年)はベストセラー。当時現役最高の短編作家と称される。2016年11月20日デヴォン州の自宅で死去。88歳没(本書より抜粋)。

 

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英語圏最高の短編作家と称されるウィリアム・トレヴァーの紡ぐ12の物語。いずれも普通の人々の、普通の日々を描いている。富裕層ではないが、かといって貧困層とも言い切れないような、まさに中流の人たちが登場し、私たち読者が、現実の生活で直面しそうな出来ごとで、彼らも同じように悩んでいる。

 

『聖像』

アラとコリーはお互い31歳。幼なじみの夫婦だ。夫のコリーには聖人の彫像を彫る才能がある。彼の彫る聖人像を見る度にヌアラは夫の才能に驚き、庇護してあげたいと思っている。だが、コリーの才能は生計の手段にはなっておらず現実的な職を探さなければならない。コリーは夫の才能に惚れこんでいるが、お腹に4人目の赤ちゃんがいて働くことが出来ない。幸いコリーは石切場の徒弟の職を見つけたが一年間は見習いで給金は出ない。その一年を何とか乗り越えられないものか・・・。ヌアラは言った。「ねえ、ファロウェイ夫人に頼んでみてくれない?」。・・・・・。

 

読みやすい文章で特別むずかしい言葉も出てこない。それなのに、文章の意図がつかめないことがある。なぜここで、この文章が書かれるのか。

 

それでも気にせず読み進めると、とつぜん立ちこめていた霧が吹き払われ、すっかりあわらになった真実が姿を現す瞬間が来る。それまで不明瞭に感じたいくつかの文章が、意を決したようにつながり始め、その内情をさらけ出す。著者の意図やら人物たちの悲喜こもごもの感情が波のように押し寄せて来る。

 

思うにこれは情報の出し方が絶妙なためで、ストーリー自体には大きなうねりは無くとも、日常を謎めいたものとして読ませてしまう、著者の緻密な構成力と周到な用意によるものだ。

 

著者は感情の描写にとても優れたものを持っている。心理ではなく感情なのだ。怒りとか、寂しいだとか、哀しいだとかそういうことの書き方が抜群である。極度に私たちの生活に近い舞台を背景にして、なおかつ感情描写に優れているということは、それだけ読者の心に届いてくるということだ。

 

その一方で、語り口はとても静かで淡々としている。ヌアラからもコリーからもある一定の距離を保っている。物語の風景がセピア色に見えるような、すべて100年前に終わったことのような、そんな哀切を伴っている。

 

『路上で』

ある女性の視点から、ある男の異常性が少しずつ語られる、回想される、また語られる、そして明らかになっていく。その過程がとてもおもしろい、そしてこわい。本書はどれもすばらしいが、終始不穏な気配に包まれているこの短編が私は一番好きだ。

 

『ローズは泣いた』

池澤夏樹・世界文学全集の短編コレクションⅡにも収録されており、そこから本書を読むに至りました。著者の数多い短編の中でも傑作と呼び声の高い作品です。

 

18歳のローズは家庭教師ブーベーリ先生のおかげもあって大学入学の試験に合格した。ローズの父親と母親は、ローズを最後に家庭教師を引退するブーベ−リ先生を自宅に呼びお祝いの会を開く。だが実はローズもブーベ−リ先生もこの会は乗り気ではなかった・・・。

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人の感情というものは不思議なものだ。そしてそれは、驚いたことに一人に一つあるものなのだ。表に出せない感情というものが他者間の間で交錯するとき、それは非常に大きなドラマを生む。本作を読むと、自分たちの人生のどれだけ大きなウエートを感情という不可思議なものが占めているかがよく判る。この物語の感情の入り乱れる様は自分たちが日々生活している現実の世界のそれとよく似ているからだ。 

 

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全編を通して、小説内の時の流れがゆるやかで、読んでいて心地が良い。誠実さが、人物に、描写の端々に感じとれる。

 

例えば昼間、私に不愉快な出来事があったとする。怒りで、悲しみで、不安で、情けなさで、眠れない夜があったとする。そんな時そばにいて話を聞いてほしいと思うのは、トレヴァーの書くヌアラだったり、コリーだったり、ローズだったり、要するに、うまくいかなくてもけなげに生きる普通の人たちだったりするのだ。

感想『 龍の刻(新定番コナン全集6)』ロバート・E・ハワード著〜そうだ!!「「筋肉」」を鍛えよう!!!→小説を読むことで筋トレのモチベーションを挙げるには。

未来少年ではない。見ためは子ども、中身は大人の名探偵でもない。コナン三兄弟の長男凶悪マッチョ戦士のコナンである。

 

なんたら洋画劇場(TV・再放送)で何度となく見たアーノルド・シュワルツェネッガー主演『コナン・ザ・グレート』の原作。な、な、懐かしい。

 

ならず者、傭兵、海賊、一国の王。

 

名前がコナンなんて、可愛らしくさえあるのにその経歴は恐ろしい。

とにかくでかい、こわい、つよい。戦わされる敵役がかわいそうなほどだ。

 

本書は国王になってからのコナンが活躍する冒険譚だが、コナンは国王になってもその兇暴性は薄れていない。部下からは尊敬される立派なカリスマだが、キンメリア人(蛮族)である彼の個性は同時に畏怖の対象でもある。以下引用。

 

セルヴィウスは、過去に気づいたことを、いまあらためて、以前よりはっきりと気づいた。すなわち、王の身辺にただよう異質なものに。鎖帷子の下のあの巨体は、文明人にしては堅すぎるし、しなやかすぎる。原始の焔が、その強い光を放つ眼の中で燃えている。王の身辺に漂う野蛮なものが、今や一段と目立っている。~中略~アキロニアの王からキンメリアの山間に住む獣皮をまとった殺し屋まで、ほんのひとまたぎなのだ。

 

 

冒頭で、コナンは3000年の眠りから覚めた大魔術師ザルトータンの黒魔術によってなんか気持ち悪くなって冷や汗だらだら。大事な戦いに参加できず大敗北。命からがら逃げ出すはめになる。

 

ザルトータンに立ち向かうため「アーリマンの心臓」と呼ばれる赤く輝く宝石を求め旅に出るのだが、何せ冒頭から負けがたてこむため、コナンのイライラは募るばかり。散々どなる、ののしる、はったおすのだ。

 

そのおもちゃをぬけ、きさまを魚の餌にしてやる!

 

犬め!やはりきさまだったのか。裏切り者め!見下げはてた売国奴め!この卑しい鋼鉄でさえ、おまえの汚らわしい首を刎ねるにはもったいない。さあ、盗人が死ぬように死ね!

 

わしの手が自由だったら、いますぐおぬしを脳味噌のない死骸に変えてやるのだがな。

 

くたばれ、犬の兄弟ども!

 

ひどい!ひどすぎる口汚さだ!

 

こんなに口汚いコナンだが、男性フェロモンの神様のような彼は女性に死ぬほど惚れられる。さすがコナン。さすが王。どんな深刻なダメージもちょっと寝れば元気になっちゃうし、どんな緻密な計画たてても、一時の感情の爆発であっさりその計画を破棄。怒涛のランボー路線にきりかえちゃって活き活きと小躍りするのだ。

 

そうか!!今までの生活で、壁にぶつかったとき、読書したり、うんうん考えてみたり、哲学書読んでみたり、自然に触れあってみたり、友人に相談したり、ひたすら寝てみたり、ヤケ酒したり、やけ食いしたり、神様について考えたり色々してきたけど、すべて違ったのだ。

 

「「「「「「筋肉」」」」」だ!!!

 

書を捨てよ。筋肉きたえよ。と寺山修司も言っていたではないか。(嘘

 

さあ皆さん。悩んだらコナン(筋肉)。悩んだら筋肉(コナン)ですよ。よいよい。

感想『あなたの人生の物語』テッド・チャン著〜なんて素晴らしいタイトル。作品名だけで多分面白いだろうという予感に満ちていた。期待以上の面白さに反し、読後ふしぎに思ったのは心に残る深い哀しみ。そしてそれが美しい事。


あなたの人生の物語

 

あなたの人生の物語

 

突飛な状況に現実感を持たすため物理学?系の説明があまりに過多で、理解できない箇所も多かったのだが、その反面主人公が自分の娘に対して語りかける並行部分の文章の方は、埋め合わせのように情感に満ち満ちているようで感動を呼び起こす。まさに、『あなたの人生の物語』なのだ。

 

『地獄とは神の不在なり』

 

仮にもし、私が極度の金持ちで、単純に自分の好きな作品だけで何かアンソロジー的なものを編むとしたならば、多分本書からはこの一作だけを大金を投じてねじ込みます。それくらいに気に入りました。SFという括りに著者はいるようだけれど、この作品は彼のSF作家としての特異性を顕著に表わしているように思う。宗教色の強い物語で、ドキュメントのようでもあり、ロードム-ビ-のようでもある。災害の物語でもあって、再生の物語でもある。アイディアも奇抜で、こちらの虚をつくような設定にもかかわらず、主観が数人にわたり切り替わったり、俯瞰した視点からの文章も織り交ぜられ真実味にあふれている。何より主人公が可哀想だ。愛する人が、天使ナタニエルの降臨による爆風の影響で、割れたガラスに傷つけられ、苦しみながらこの世を去ったのだから・・・。

 

『美醜について-ドキュメンタリー』

 

おそらく本作が読者から最大の関心をえるだろう。だってあなたが男性である以上、女性である以上、いや、人間である以上、いや、生き物である以上、絶対に避ける事の出来ない最大に重要な問題であるから。よくSFには行き過ぎだ管理社会のような設定があるものだが、こちらはその一歩手前の、少しく先進的すぎる団体が思いつきそうな、科学力さえあれば実行しそうな、一つの未来社会のひな型のような物語で、それを紡ぐ文章にしても、複数の雑多な立ち位置の人間の発言を表現方法として、非常に巧妙に書かれている。自分がもし、学生でこのような社会に生きていたとしたら、私は果たしてカリーアグノシア(美醜失認処置)を受けているのだろうか・・・?

 

(読んでいただきありがとうございました。) テッド・チャン二作目はこちら↓ 

 

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感想『円』劉慈欣著〜『三体』三部作で、全世界2900万部以上を売り上げた著者の初の短編集。本書収録『円』はSF史に残る傑作短編。『アレクサンドルの蝶』は映像化されそうな程の感動作。『繊維』は超弩級パラレルものでクスッと笑えるユーモア作品。ハズレなしのプラチナ本です。  

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〜劉慈欣について。

1963年山西省陽泉生まれ。発電所でエンジニアとして働くかたわら、SF短編を執筆。『三体』が2006年から中国のSF雑誌〈科幻世界〉に連載され、2008年に単行本として刊行されると、人気が爆発。アジア人作家として初めてSF最大の賞であるヒューゴー賞を受賞。『三体』三部作は全世界で2900万部以上を売り上げた。日本でも『三体』三部作は合計58万部を売り上げる大ヒットシリーズとなった。今もっとも注目すべき作家のひとりである。〜本書より抜粋。

 

 

めっさ面白かった。

 

ひさしぶりに発売日当日に本を購入した。三体』三部作でそれはそれは度肝を抜かれたのだけれど、本作も短編集ながら超弩級のスケールの大きさ、そして緻密さが随所に炸裂している。『三体』を読んでみたいけれど長すぎるとためらわれる方はまず本書『円』を読んでほしい。かならず良質の読書体験が得られます。深みもありながら、しっかりとエンターテインメントもありとても楽しめる傑作短編集です。以下に気になった収録作品のあらすじ、感想などをご紹介します。

 

『鯨歌』

 

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ワーナーおじさんは自分の船の船先に立ち、大西洋の静かな大海原を眺めながら考え込んでいた。彼には考え込む習慣がほとんどない。いつだって、考えるまでもなくどう行動すればいいかわかっていたし、実際これまでずっと、考えることなく行動してきた。しかし今回ばかりは、たしかに厄介な事態に陥っていた。

 

日本の読者は、規格外かつ超弩級スケールの『三体』で劉慈欣を知った方が多いと思います。私もそうでした。本書冒頭の『鯨歌』を読むと、著者はこんな物語も紡げるのかと嬉しい驚きを覚えます。これから著者とは長い付き合いになりそうだな、と快い友人と知り合えたような気持ちを抱きます。非人道的なタイプの物語の内容と反して、著者に対する信頼感が増す、良い印象を受ける好短編です。

 

『繊維』

 

10ページ弱の非常に短い作品です。一種のパラレルワールドものですが、そこは劉慈欣らしく超絶スケール、かつそこはかとないユーモアが随所に炸裂しています。登場人物たちのドタバタと噛み合わない感じが非常に面白く、思わずクスッと笑ってしまいます。ちょっとした笑いを提供してくれる物語は個人的に大好物です。

 

『カオスの蝶』

 

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バタフライ・エフェクトという言葉をご存知でしょうか。

 

力学系の状態にわずかな変化を与えると、そのわずかな変化がなかった場合とはその後の系の状態が大きく異なってしまうという現象。

 

蝶が羽ばたく程度の非常に小さな撹乱でも遠くの場所の気象に影響を与えるか?という問いかけ。

〜ブラジルの一匹の蝶の羽ばたきはテキサスで竜巻を引き起こすか?

ウィキペディアより参照)

 

物語は、戦時下であるユーゴスラビアの首都ベオグラードにある小児病棟。そこに爆発音が響く。戦争が始まったのだ。

 

ビルの中で地下へ向かう人々の群れの中に、本編の主人公アレクサンドルがいた。彼は友人のライヒと共にただ2人屋上で空を見上げていた。

 

妻と娘と帰宅したアレクサンドルは、自分がこれから戦火のベオグラードに2人を残して長い間出かけなければならない旨を伝える。私も連れて行ってという娘に彼はこう答える。

 

「それはできないんだ、シュガー。パパはね、みんなの土地に爆弾が落ちてこないようにするために出かけるんだ。カーチャを連れていくにはちょっと遠すぎる。それにパパだって、自分がどこに行くのかまだ知らないんだよ」

 

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劉慈欣は、実際にあった社会的事件をベースにしてSF的物語を展開していくのが非常にうまい作家だ。本編でもその特徴は顕著だ。読者はその事件を知らなければ知ろうとするし、知っていたのならばその内容を検証するつもりで、あるいはその事件の解決を物語の中に求めようとして真剣に読み始めることとなる。家族を守るためとはいえ、戦時中の街に病気の娘と妻をのこし、世界中を駆けずりまわるアレクサンドルの姿は、もどかしくもあり、また感動的でもある。

 

『円』

 

SF史に残る傑作と言っても過言ではないでしょう。それくらい面白く、味わいがあります。本編の内容は『三体』の中でもVRゲーム三体の一エピソードとして登場します。本編ではそのエピソードをより純度を高め昇華させたような作品です。あらすじはネタバレをさけて記しませんが、〈秦の始皇帝〉、〈人力コンピューター〉、〈円周率〉このへんが鍵となります。本編は第50回星雲賞海外短編部門を受賞しています。

 

まとめ

 

今回ご紹介した4作以外にも秀作が目白押しです。じつに様々なテイストを味わえるラインナップで、SF好きでも、そうでない方でも絶対に読んだほうがいい作品と言えるでしょう。

 

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

 

劉慈欣の超ヒット作『三体』三部作の書評はこちら↓

 

 

 

 

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『円』を読んでいると、その世界観から『三国志』を思いだします。↓

 

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感想『傷跡』ファン・ホセ・サエール著〜傷は人間を変質させる。彼らがこの世界で暮らすには、自らの異質を世界に無理に馴染ませていくしかない。

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『傷跡』を読んでまず目を引かれるのは、いずれの登場人物もどこかしら【変】だということだ。彼らはみな常識的な規範から少しずつ(あるいはかなり)ズレている。このズレはなんの変哲もない日常的な光景を〈異化〉することによって、読者の脳裏に忘れがたい印象を残すことになる。

 

本書は四章で構成されていて、いずれの章もそれぞれ異なる人物を主人公とする独白形式で描かれている。ひとつの事件を軸にその4人が章を追うごとに交錯していくのだが、あと書きによると、それぞれの登場人物たちの背景には1955年にアルゼンチンで失脚した※ペロン政権側についていた人々の、埋める事の出来ない心の傷がほのめかされている、とある。

 

※ファン・ドミンゴ・ペロン(1895年10月8日〜1974年7月1日)

 〜アルゼンチンの軍人、政治家、大統領。大統領に3回当選したが、独裁者とよばれたこともあり、アルゼンチン国内でも評価は分かれる。ペロンの支持者「ペロニスタ」が母体となった正義党は、現在でも同国内で大きな影響力を持っている。(ウィキペディアより抜粋)

 

取り返しのつかないほどバカラ賭博にはまってしまう元弁護士セルヒオ何故か自分以外の人間を全て「ゴリラ」と認識している判事エルネストの存在がこの小説の白眉といっても差し支えはないだろう。

 

出てくる人物はすべてどこかしら異常性を有しているのだが、セルヒオならば賭博、エルネストならばドライブ中の景色に対する描写や考察などが過剰に緻密に語られていて、そこが元々架空であるはずのこの物語に深刻なリアリズムを与えている。

 

しかしその一方で賭博にはまるセルヒオは、元弁護士で雑誌にエッセイを寄稿するような高い知能と常識を有している。それにもかかわらず、勝ち負けになんのこだわりも感情もいだかないバカラ賭博への傾倒ぶりには、危機感の欠如とか生への執着の欠如を感じる。

 

判事のエルネストはその存在がとても虚ろだ。食事もほとんど摂らない。出版の予定もないオスカーワイルドの翻訳に取り憑かれたように取り組んでいる。仕事にも生活にもなんの情熱もなくひたすら虚無な印象を受ける。自分以外の人間を〈ゴリラ〉と認識している際も別に憎しみの感情はなさそうだ。ただそのように認識しているだけだ。

 

「傷」によって変質してしまった彼らの日常は、私達の目にはかなり特異に映る。それこそがこの物語の読みどころであって、そこに作為を感じてしまうのは無粋なのかもしれない。大事なことに気づくのに、私たちの持つ生理現象や、生への執着は案外じゃまをすることもあるだろうし、それに何より、彼らのある種のめりこみ方が半端ではなくてそこに何と言うか爽快感とか面白みのようなものを感じてしまう。何だか全体的に喪失感を扱った物語の割にはそこそこ笑わしてもらった。最初は真面目に読んでいたのだが、まるで何十発も打たれたボディブローのように、<ゴリラ>という文字が効いてくるのだ。

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目次

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  2. メリット、デメリットとその具体
  3. まとめ。

 

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2・メリットデメリットとその具体例。

 

メリットについては、書ききれないほどあるのですが、私が体験して感動するほど良かったものを以下に数点書いていきます。

 

【メリット】

 

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↑最もシンプルなKindleで、防水機能はついていません。容量も8Gと少ないです。

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普段あまり大きい割引のない商品なので、プライムセールまでに30日の無料体験を申し込んで、上記の大幅割引きを受けるというのも戦略としてアリかもしれません。
 
他には、

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Amazonプライムビデオが最高すぎる。

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子供向けのアニメ、楽しく勉強になるような番組が充実している。

私にも保育園に通っている子供がいます。プライムビデオには子供にとっても大変面白く、また勉強になるプログラムが多く揃っています。文字や、数、簡単な英単語や時計の読み方、友だちとの付き合い方など自然と学べるような番組が多数あり、見せていて安心です。

地上波の番組だけですと、例え録画していても限界がありますが、プライムビデオならば子供が飽きる心配は皆無です。見きれないほどのラインナップがあり、更に定期的に更新されます。子供が自然とものごとを学んでいる間に、私のような親は読書や家事をすることが出来ます。そして読む本でさえ、プライムリーディングの1000冊の中から無料で選ぶこともできるのです。

 

子供が寝静まれば、お父さんお母さんのリラックスタイムです。これまた見きれないほどのラインナップから映画を選び見ることが出来ます。わざわざ映画を見るためにレンタルする必要などなくなるのです。

 

③プライムリーディングで読みたかった本を買わずに読むことが出来る。興味のある分野を網羅して読むことが出来る。

 

本は知識の吸収という面ではコストパフォーマンス抜群ではありますが、本好きな人からしたら読みたい本がありすぎて、支出がかさんでしまうことがあります。文庫本なら500円〜1000円弱、単行本なら1000円〜3000円はするのが一般的です。

 

プライムリーディングなら月500円で、常時1000冊の中から好きなものを何冊でも読めます。まず2冊も読めば、もう元が取れるでしょう。さらにプライムビデオやミュージックなど普段使いしやすいサービスも満載です。お得すぎると思います。

 

ラインナップには新刊も多く、本屋さんで平積みされているようなものも多くあります。もちろん古典的名作も読みきれないほどにあります。特に小説では光文社新訳文庫が常時ラインナップに加わっており、私もドストエフスキーの『罪と罰』はプライムリーディングで読みました(2021年11月現在は対象から外れています)。『罪と罰』の書評記事はこちら↓

 

konkichi.hatenablog.jp

また、気にはなっているけど買うほどでもないといった本まで対象となっていることが多く購入せずに気軽に読み漁ることが出来るんです。所有欲が満たされるような美しい本は紙の本で購入、知識だけ得たい、ちょっとめくってみたい雑誌などはプライムリーディングで、といったすみ分けも出来るようになります。これも支出、収納などの観点からも大きなメリットです。

 

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【デメリット】

 

もちろん万能すぎるAmazonプライムですが、個人的に残念なところもあります。

 

Amazonプライムリーディングでは純文学、翻訳小説 などの新刊は少ない。

 

Amazonミュージックでは対応するミュージシャンの幅は広いものの、それぞれの聞ける楽曲は少ない。

 

欲を言えば、Kindle本のプライム割引なども特典としてあったら嬉しいのですが、月500円でこれだけのサービスを受けられるのは、十分すぎるほどの内容だと思っています。

 

3.まとめ。

 

わたしも初めてサブスクのサービスを利用したのはAmazonプライムが最初でした。始めてみて本当に良かったです。今ではサービスを利用していなかった頃の生活が想像できないほどです。

 

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しかも他のサブスクと比べ月500円(年会費4900円でお得)というのは、まずサブスクがどんなものかを試してみるにも、始めやすい金額です。

 

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感想『夜のみだらな鳥』ホセ・ドノソ著〜+カオス畸形児無秩序老婆+

冒頭。ブリヒダという老婆が死んだことについて、何の断りもなく大勢の人間が現れて、入れ替わり立ち代わり喋っている。

 

しばらくして、ベニータという名のシスターが、一人の男に自転車を運ぶよう指示をだす。ムディートと呼ばれているその男は聾唖者であり喋れない。

 

亡くなったブリヒダは晩年は修道院に入っており、彼女をめぐる今までの語りのすべては、修道女やもとの主人、そして老婆のものだった。

 

しかし突如そこに「俺」から始まる一人語りが混じり始める。

 

この「俺」を一人称として用いている語りは、唖のムディートのものなのである。ムディートはどうやら小男で、周りからは従順に働きはするが少し頭の弱い者として位置づけられている。他者と言葉によるコミュニケーションの取れないムディートだが、(言葉に出せないのだから、二重の意味で)独白されている語りの内容から見ると、実は知能は高いことがわかる。

 

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ブリヒダの死亡時、修道院には40名の老婆と5名の孤児、そして3名の修道尼がいて通夜に参列したと書かれている。

 

主な舞台はこの修道院。そして、ムディートの過去にかかわるリンコナーダである。このリンコナーダではムディートが聾唖者になる前の非常にスリリングな回想がメインとなっている。

 

ムディートがまだ健常者だった頃、偶然一人の上流階級の男と知り合う。そして、その男の政治秘書となったことから作家志望のウンベルトは畸形園の管理者となり、後にムディートとなる運命を担ってしまう。呪わしい魔女の逸話にからめとられたアスコイティア家の畸形の王子<ボーイ>と修道院の孤児イリスの腹が性交渉なしに身ごもったと噂される奇跡の子<ボーイ>。時空と空間を飛び越えて二つの誕生が渦になって絡まっていく・・・。

 

 

悪夢のような小説である。要するに不快な内容が多く書かれていると言ってもいい。例えばムディートだが、彼はある意味非常に饒舌だ。そして頭もいい。だが、現実的には非常に無力な存在だ。正直、狂っているのかもしれない。このことは他の登場人物にもあてはまる。誰一人信用できる語り手がいない。

 

 

辻褄があってくるのかと思いきや、あまりあっていないままストーリーは進む。そして、結局読後感として一番残るのは老婆たちの恐ろしさである。魔女だろうが、畸形の園だろうが、狂気に近い恋慕だろうが、結局一番恐ろしさを感じたのは人としての秩序が崩壊しはじめた(あるいは崩壊してしまった)老婆たちの集団であった。無秩序というものは本当に恐ろしい。私はこの本を読んでいる間よく悪夢(※)をみました。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・以下悪夢。暇つぶししたい方はお読みください。

 

 

(※)

 

モノクローム。外は嵐。薄暗い室内で男が一人楽器と思われる物を持っている。この男はどうやら私らしい。私は一階におりた。そしてそこにいたショートカットの見知らぬ女性が私に、(楽器を)弾いてなくていいの?と言う。

 

私はここで思い出す。そういえば私は二階で楽器を持っていた。そしてその場面のほんの少し前、私はその楽器でなにか曲を奏でていたような気がしてくる。女性はまた言った。弾いてなくていいの?

 

そして私は再び思い出す。私は薄暗かった二階のあの部屋で、今となっては思い出すことはできないが何某かの楽器を使って曲を奏でることで、何か非常に良くないこと(災いのようなもの)を封じ込めていたのだと。

 

私は言った。ここで弾くから大丈夫だよ、と。なんの保障もなく、確信もなくただ言った。反射的にただ言った。本当に大丈夫かな、とほんの少し思いながら。

 

(場面変わる)

 

私はどうやら船に乗っている。船倉というのだろうか?船の底の貯蔵庫のようなところだ。二人の筋肉質の男が、二人の顔のない男を地面に押さえつけている。二人の筋肉質の男と彼らに指示を出している中年の男は私の味方のようだ。指示を出していた男が、救い出された女性を指さす。

 

船倉の床に横たわっていたその女性は血だらけで顔は何度も殴られたように腫れあがっていた。服は裂かれ、微かに布地の残る其の体には明らかに凌辱された形跡が見て取れた。私は衝撃を受けた。そしてもしかしてと思う。私が楽器のことを忘れてしまったからではないかと。大丈夫だと軽く受け流して、2階に戻り曲を奏でなかったからではないのかと。

 

 

注:悪夢をみるほどに濃い内容の小説ですが、傑作ではあると思います。