- Book Box - 本は宝箱。

SF・幻想文学多めの読書感想サイトです。基本好きな本しか感想書かないので、書いてある本はすべてオススメです。うまくいかない時ほど読書量がふえるという闇の傾向があります。それでも基本読書はたのしい。つれづれと書いていきます。

2021-11-01から1ヶ月間の記事一覧

感想『密会』ウィリアム・トレヴァー著〜市井の人々の日々の暮らしを、その中で起こりうる感情を、ただありのままに書かせたとしたらウィリアム・トレヴァーに勝る作家はいないだろう。英語圏最高の短編作家と称されるのも納得の、味わい深い十二の作品群。

トレヴァーの小説は、物悲しいと同時に美しい。そして常に変わらず誠実である。 〜サンフランシスコ・クロニクル紙 ウィリアム・トレヴァーについて。 〜1928年アイルランドのコーク州にて生まれる。アイルランドの最高学府トリニティ・カレッジ・ダブリ…

感想『 龍の刻(新定番コナン全集6)』ロバート・E・ハワード著〜そうだ!!「「筋肉」」を鍛えよう!!!→小説を読むことで筋トレのモチベーションを挙げるには。

未来少年ではない。見ためは子ども、中身は大人の名探偵でもない。コナン三兄弟の長男凶悪マッチョ戦士のコナンである。 なんたら洋画劇場(TV・再放送)で何度となく見たアーノルド・シュワルツェネッガー主演『コナン・ザ・グレート』の原作。な、な、懐か…

感想『あなたの人生の物語』テッド・チャン著〜なんて素晴らしいタイトル。作品名だけで多分面白いだろうという予感に満ちていた。期待以上の面白さに反し、読後ふしぎに思ったのは心に残る深い哀しみ。そしてそれが美しい事。

あなたの人生の物語 『あなたの人生の物語』 突飛な状況に現実感を持たすため物理学?系の説明があまりに過多で、理解できない箇所も多かったのだが、その反面主人公が自分の娘に対して語りかける並行部分の文章の方は、埋め合わせのように情感に満ち満ちて…

感想『円』劉慈欣著〜『三体』三部作で、全世界2900万部以上を売り上げた著者の初の短編集。本書収録『円』はSF史に残る傑作短編。『アレクサンドルの蝶』は映像化されそうな程の感動作。『繊維』は超弩級パラレルものでクスッと笑えるユーモア作品。ハズレなしのプラチナ本です。  

〜劉慈欣について。 1963年山西省陽泉生まれ。発電所でエンジニアとして働くかたわら、SF短編を執筆。『三体』が2006年から中国のSF雑誌〈科幻世界〉に連載され、2008年に単行本として刊行されると、人気が爆発。アジア人作家として初めてSF最大…

感想『傷跡』ファン・ホセ・サエール著〜傷は人間を変質させる。彼らがこの世界で暮らすには、自らの異質を世界に無理に馴染ませていくしかない。

『傷跡』を読んでまず目を引かれるのは、いずれの登場人物もどこかしら【変】だということだ。彼らはみな常識的な規範から少しずつ(あるいはかなり)ズレている。このズレはなんの変哲もない日常的な光景を〈異化〉することによって、読者の脳裏に忘れがた…

本好きのあなたへオススメするAmazonプライムの無料体験。1000冊の本がタダで読めるうえ、読書時間まで確保出来る。小説原作の映画も沢山見れる!メリット、デメリットとその具体例書きます。

結論からいいますと、 無料体験どころか、月500円(年会費だと4,900円でお得)払ってもメリットいっぱいで、今までの生活が革命的に変わります。少しでも迷っているなら絶対やったほうがいいです。楽しみ方がいっぱい(読み放題だけじゃない)!そし…

感想『夜のみだらな鳥』ホセ・ドノソ著〜+カオス畸形児無秩序老婆+

冒頭。ブリヒダという老婆が死んだことについて、何の断りもなく大勢の人間が現れて、入れ替わり立ち代わり喋っている。 しばらくして、ベニータという名のシスターが、一人の男に自転車を運ぶよう指示をだす。ムディートと呼ばれているその男は聾唖者であり…

感想『一文物語集』飯田茂実著〜同僚たちと花見の席で大騒ぎをしている最中にふと、自分が前世でこの樹のしたへ誰かを殺して埋めたことを想い出した。(本文より抜粋)

1行から4行ほどの文章で、一つの物語が始まり、完結する。文字数が少ないので、つかわれる一文字一文字の硬度は高くなり、ひとつの文節が持つイメージ量は必然それなりの大きさが必要となってくる。足りない情報は、読者が勝手にイメージすることで埋め、…

感想『ランボー詩集』堀口大学訳。〜永遠と太陽をつがわせる文学の非道。

文学こそがすべてなのだ、最も偉大な、最も非道な、運命的なもの。そしてそうと知った以上、他になすべきことはなかった。 上記は、『悲しみよこんにちは』で19歳にして時の人となるフランソワーズ・サガンの言葉。 彼女はランボー詩集『イリュミナシオン』…