感想『ユービック』フィリップKディック著~どんでん返しありの傑作SFサスペンス。無類の面白さ&無一文で世界を救う男ジョー・チップのハードボイルド(サイキック)ワンダーランド。
まず結論からいうと、相当面白かった。
著書の『アンドロイドは電気羊の夢をみるのか』を読んだときにも、そのあまりの面白さにぶっ飛んだ記憶があるのだが、今回はそれ以上にぶっ飛んだ。
主人公のジョー・チップは、不活性者(反超能力者)側の検査技師で、知人のスカウトマンがつれてきたある能力者と知り合うことで、物語が急転していく。彼女の不活性の能力はプレコグ(未来予知者)の能力を無効にできるもので、それはある意味過去を変える能力でもあった。
この破格の能力を持った若く美しい女性パット・コンリーがこの素晴らしい物語に強烈なサスペンスの要素を持ち込んでいる。それと、ジョー・チップたち反超能力者集団の精鋭メンバーたちは劣勢につぐ劣勢で、周囲の世界と自分達が謎の能力によって終始攻撃されている。
なおかつジョー・チップときたら、反超能力者集団のリーダーとして頑張らなければならないのに、コーヒー一杯も買えないほどの金欠で、何をするにも、どこに行くにもお金がなくて、いらぬ苦労をしている(まあこれは、この世界の設定も関係しているのだが)。
さらに、時節しつこいくらいに出てくる(ユービック)という謎の言葉。何が真実で何が虚構なのか、だれが味方でだれが敵なのか。金欠だけどハードボイルド、行動力はあるが若干情緒不安定なジョー・チップがこの謎を解き明かし、世界を救うことができるのか。ワクワクハラハラしながらの一気読みでした。あ~、面白かった!!
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