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SF・幻想文学多めの読書感想サイトです。基本好きな本しか感想書かないので、書いてある本はすべてオススメです。うまくいかない時ほど読書量がふえるという闇の傾向があります。それでも基本読書はたのしい。つれづれと書いていきます。

感想『三国志』横山光輝著〜怒涛の一気読み60巻。夢の中で天才軍師になるの巻。

 

12歳・夏

 

田舎のおじさんから送られてきたダンボールの中に、横山光輝の『三国志』がドサッと入っていた。数日おきにパラパラしてるうちにあれよあれよとトリコになったが、37巻までしか入っていなかったので、貯金を切り崩し、急きょ残りの巻(全60巻)を揃えた。寝ても起きても、寝ても起きても明け暮れる三国志の日々。

 

<夢を見た。>

 

だだっ広い宮殿の中央で、私は椅子にチョコンと座っている。何だろ-???と思っていると、床がドドッ!ドドッ!ドドッ!っと揺れ始めた。首をかしげると視界の端に砂煙が見える。目を凝らすと、地平線の端から端まで何千何万という騎馬兵が私にむかって突進してくるのだ!ひえ---!!と思っていると騎馬兵は私から10メートルほどの位置でピタッと動きを止め、中から3人の男が出てきた。劉備関羽張飛の三人だ。私の前に膝まづいてなにやらワーワー話し出した。「どうかわが軍に!どうかわが軍に!」と青筋たてて懇願しているではないか!夢の中でどうやら私は、比類なき天才軍師になっていて勧誘を受けているらしいと委細承知する。私は胸の中で得意満面になりながら「よしよし、公明は三顧の礼で三回だから俺は10回ことわった末にしぶしぶ力を貸してやろう!」とほくそ笑みながら、劉備に対しては「私などの若輩者は・・」といいながら士官を断っていた。夢はこのあと、孫権が数万の水軍を携えて私という天才を奪いに来るし、黒馬に赤の甲冑でオーラを放つ曹操までもが私を軍師に迎えようと焔のごとく迫ってきている。私はこの上ない幸せを感じていた・・・。

 

張飛死亡。>

 

あわあわあわ・・・。あわあわあわ(ショックで言葉にならない様子)。100万近い軍勢を橋の上とはいえたった一騎でくい止めるわ、ちょっとお馬鹿でもでかくて、怖くて、涙もろい張飛は、当時私の中でほとんど、ケンシロウ孫悟空と同じ位置づけの強者で、まさか酒で酔わされて泥酔してる時に首を刎ねられるという、あっけない死に方をするとは夢にも、夢にも思っていなかった。ここである事実に気づく、<そうだ!!こいつらそういえば2千年以上前に死んでる奴らだった!!!>張飛の死を目の当たりにするまでそのことをすっかり失念していた!!その夜、メシが喉を通らなかった。綺羅星のようなスターたちが、老いて死んで行く。ショック&ロマン。

 

 

 

横山光輝の『三国志』をきっかけに、私は歴史が好きになった。吉川栄治、陳瞬臣、司馬遼太郎、北方健三、日本史、世界史なんでも面白い。最近では江戸などの庶民の歴史の方が好きにはなったが、やはり「戦国」やら「幕末」やら「群雄割拠」と聞くと心おどってしまう。大学生の頃、おなじクラスの女の子が、吉川栄治の『宮本武蔵』を食い入るように読んでいる現場を見てしまい、そのインパクトだけでその娘を好きになりました。

 

<要するに>

 

粗筋について何も書いてませんね。恐縮です。amazonwikiをご参照ください。要するに、男の子には三国志を、女の子にも三国志を。親のあなたも三国志を。一人のあなたも三国志を。死ぬまで一度は三国志を。そういうことが言いたかったのです。騒がしい文面で失礼いたしました。