- Book Box - 本は宝箱。

SF・幻想文学多めの読書感想サイトです。基本好きな本しか感想書かないので、書いてある本はすべてオススメです。うまくいかない時ほど読書量がふえるという闇の傾向があります。それでも基本読書はたのしい。つれづれと書いていきます。

2022-05-27から1日間の記事一覧

感想『極北』ポール・セロー著〜終末文学の傑作。終わりつつある世界の中で人は残されたわずかばかりの食料を、快楽を、権力を奪いあう。そこに道徳が介入できる余地はわずかだ。だがその僅かな閉所こそが、善性であり、人間性というものだ。

ポール・セロー著『極北』。 無人の店、窓ガラスはすべて割れている。ビルはもぬけの殻。手入れもされず、そもそも誰いなくなって長い。世界的に都市は廃墟となっており、おそらく電気や水道などのインフラは通っていない。道路は荒れ、人はほとんど住んでい…