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SF・幻想文学多めの読書感想サイトです。基本好きな本しか感想書かないので、書いてある本はすべてオススメです。うまくいかない時ほど読書量がふえるという闇の傾向があります。それでも基本読書はたのしい。つれづれと書いていきます。

感想『プロジェクト・ヘイル・メアリー 上』アンディ・ウィアー著〜地球の終わりを救うため、全世界が協力してはなつ起死回生の一手プロジェクト・ヘイル・メアリー。たった一人でミッションをになうライランド・グレースは、記憶を失い自分の名前すら思い出せない。ビル・ゲイツ、オバマ元大統領推薦!Amazon年間ベストブック選出の本書はライアン・ゴズリング主演で映画化も決定している。

 

本書の著者アンディ・ウィアーは、初めて書いた小説『火星の人』が世界的なベストセラーとなり、2015年にはマット・デイモン主演で映画化(映画化名オデッセイ)もされ、こちらまた大ヒットとなっている。

 

本書『プロジェクト・ヘイル・メアリー』はそんな著者の第3作目。記憶を失い、どこかもわからない場所に閉じ込められている男が、記憶を取り戻しながら科学的思考を使い、宇宙規模の災厄に立ち向かっていくストーリーとなっている。

 

2021年にアメリカで刊行されると、すぐにベストセラーとなり、ライアン・ゴズリング主演でハリウッド映画化が進行している。

 

〜あらすじ&感想

 

楕円形のベッドの上、真っ白く円筒状の部屋で、2本のロボットアームに見守れながら主人公は目覚める。

 

体には何本もの管が埋め込まれ、何枚もの電極が貼られている。体が全く動かない。何故自分がここにいるのか、そして自分が一体誰なのか、記憶が失われている・・。

 

物語は、現在の状況に戸惑いつつも、記憶を取り戻していくリアルタイムパートと、思い出した過去の描写からなる回想パートが交互に展開していく構成となっている。

 

登場人物はさほど多くなく、ストーリーも現在→過去と交互に展開していくので、非常に理解しやすく、読みやすい。サクサク読める。記憶を取り戻していく過程ではミステリー的な楽しみ方もでき、過去の描写では地球が置かれている深刻な状況が緊張感をもたらす。

 

ある現象によって、地球に届く太陽の光は極端に減少しつつある。それによって穀物は育たなくなり、異常気象は甚大な被害をもたらす。世界的な気候学者の意見では、19年後に地球の人口は半数が死滅してしまうという。

 

過去編で明らかとなった上記の深刻な問題は、記憶を失い、たった一人で宇宙を漂流する一人の男ライランド・グレースに託されている。彼は、ある研究論文が原因となり大学を追い出された科学博士で、現在は中学校の科学の先生をしている。

 

そんな彼のもとに、世界で一番権力をにぎる女性、ペドロヴァ対策委員会のエヴァ・ストラットが現れる。ビッグ・ボスである彼女の登場で、グレースはこの前代未聞のミッションに駆り出されてしまうことになるのだ。

 

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個人的に、今年度No.1の面白さだった。『三体』を彷彿とさせるスケールの大きさもありながら、人間ドラマや、登場人物のユニークさなどの細やかなところまで非常に良く描写されている。

 

危機的な状況に直面し続けながらも、科学的好奇心で嬉々としてのりこえてしまう主人公は、読んでいてとても楽しい。昨日上巻を読み終えて、今日下巻を読みはじめた。

 

とんでもないことになっている

 

まだ下巻を読み始めたばかりなのに、まだ最後まで読んでいないのに、もう映画化したものを見たい!早く映画とってくれ!!もう我慢できない!!!そんな感じに今、たかぶっている。それくらい面白い。

 

本当に面白い本に出会うと、ときどき冷静さを失ってしまいます。反省。今年最後の本をこれにしたのは大正解でした。本の好みは人それぞれなのでアレですが、この本だけは強くオススメします。ぜひ読んでみてください。絶対に後悔はしないはずです。

 

最後に、ライランド・グレースのお決まりのアレを引用してお終いにします。この人本当に頭が良くて行動力もあるのに、ちょっとお馬鹿なところが本当に魅力的です。

 

ワオ・・・・・・。まさにワオだな。〜本書296ページより抜粋

 

読んでいただきありがとうございました。